死を迎える人の部屋
母の最後のお見舞いに行った時、数日前に知らされていた部屋に行ってみた。
そこには、母のベッドはなくて、ベッドで起き上がって、ご飯を食べている人もいた。
テレビも置いてあった。
部屋を移動したかもしれない。
探してみると、端から二番目の部屋に名前があった。
みんな・・・食事は点滴だった。
死を迎えるおじいちゃん、おばあちゃんたちの部屋の窓際に母は眠っていた。
廊下側のおばあちゃんは、髪が少しカールして目鼻立ちがはっきりしていた。
若い頃は美人といわれただろうなあ。
ここの看護師さんは言う。
「言われた事は分かっていますから、話しかけて下さい。」
こんな状態でも、定期的に体位交換をする。
数人の看護師さんが、声かけをしながらやってくれる。
この世の執着を断つ修行所の様相を帯びた病室も、その時だけは、活気が出る。
ここの看護師さんの見立てに間違いはない・・
この世とあの世の橋渡しをする、あなたたちは、看取りの天使?
母が旅立つ最後の日、私たちは、あちらこちらから駆けつけて、母に話しかける事ができた。