母の事
母が、人生の終わりを迎えるための病院へ転院した。
それから4ヵ月、今日お見舞いに行こうと思っていたら、病院へ来て下さいと、向こうから電話がかかってきた。
行ってみると、母は話しかけても返事をしなくなっていた。
そうか、もう、いつも一緒にいる小鳥のピーちゃんの話も、病院の中にあるという焼肉店の話も、突然爆弾が落ちた話も聞けなくなったんだな。
それでも話しかけると、口が話したそうに動いている。
言われた事は分かるんだ。
話しかけていると、体温が戻ってきた。
それが、あなたの生命力の強さの証拠だよ。
今日の夕日は、私の母がみる最後の夕日かもしれない。
目は見えないけれど、、
あなたの近くの大勢の人たちを振りまわし、多大なる影響を与えてくれた。
ユニークな人生が終わってゆく。
今日は、UFOくもや動物の形をした雲が、たくさん、西の空から東の空へ、賑やかに流れていった。
もう帰っていいと、お迎えがきたようだ。